IPE研究会 次回の会合 | ||||
日時 3月17日(日)15:00-18:00 場所 東北大学 東京サイト 東京都中央区日本橋本町2-3-11 日本橋ライフサイエンスビルディング912号室 |
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発表 敗者の安心供与としての日本国憲法第九条 ――戦争放棄の起源―― 発表者 福島啓之 東京大学大学院 総合文化研究科 学術研究員 討論者 板山真弓 東京大学社会科学研究所 特任研究員 要旨 本報告は、日本国憲法第九条の戦争放棄条項が制定される までの歴史的経緯を見直し、その敗者の安心供与としての 作用に着目する。これにより、戦後の日米関係が全面戦争 から平和の回復へと、劇的な形で紛争の収束に向かった理由を、 理論と歴史の実証の両面から説明する。敗者の安心供与論の 立場に基づいて検討を行うと、戦後の日本は、憲法九条の 規範的な自己拘束により、勝者の抱く反逆への警戒心を払拭 しようと努めたと理解される。すなわち、日本の反逆を軍備 禁止により不可能にしたいと考えていた米国の懸念と要望に 対し、日本は戦争と軍備を否定する規範拘束シグナルによる 安心供与で対処したという見方ができる。よって、憲法九条は、 自省的な平和主義の観念に由来するというよりも、本来は 平和的な意図を米国といった相手に伝える安心供与のシグナル としての実用的な意味を帯びていたとみられる。その起源に ついては、敗者の民主的な制度に裏打ちされた、無防備の 原則の宣言による安心供与と捉える解釈を示すことができる。 |
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